国際認証AACSBにおけるAoL(Assurance of Learning): 学びの質保証
こんにちは、グローバル事業支援チームです。今回は、グローバル事業支援チームが関わっている国際認証制度の中の
「AoL(Assurance of Learning):学びの質保証」についてご紹介します。
国際認証とは?
グローバル事業支援チームでは、早稲田大学経営管理研究科(Waseda Business School:WBS)の国際認証取得支援を
行っており、ベルギーの首都ブリュッセルに本部を置くEFMD(European Foundation for Management Development)の
EQUIS (European Quality Improvement System)、そして米国フロリダ州タンパに本部を置く
AACSB(Association to Advance Collegiate Schools of Business)の認証取得およびその更新に係る支援に従事しています。
国際認証制度は、文字通りグローバルにおける教育の質を認証する制度であり、その評価範囲は、ビジネススクールの
戦略、経営(財政)状況、教員の質、学生・学びの質、施設、国際化、ERS、社会との連携、社会へのインパクトなど、
多岐にわたります。認証取得を目指すスクールは、これらの状況をエビデンスとともに報告し、評価機関からの審査を
受けて、認証取得の有無が決定されるのですが、WBSでは、2018年にEQUIS、2019年にAACSBの認証取得が決定しました。
日本において国際認証を取得しているビジネススクールは数えるほどで、近隣の中国、台湾、韓国や東南アジアからも
水をあけられている状況ですが、教育のグローバル化が加速する中、国際認証の取得はグローバル・ランキングへの
パスポートともなるため、上手くスクールのグローバル化や質の向上に活用していく事が望まれます。
国際認証は制度によって特徴があり、求められるものも異なりますが、今回はAACSBが重要視している
AoL(Assurance of Learning):「学びの質保証」についてご紹介します。
AoL(Assurance of Learning): 学びの質保証とは?
AACSBでは、AoL(Assurance of Learning):「学びの質保証」を以下の通り定義しています 。
学習者が、プログラムが設定する学習能力(目標)に到達している事を、組織として論証する体系的なプロセス・評価計画
●学習能力のギャップを特定するプロセスや、(設定した)学習能力(目標)に学生が到達できるようカリキュラムや
学習経験をデザイン・変更する事
●授業やトピック等対する詳細な学習能力目標ではなく、ディグリー・プログラムとしての学習能力目標を想定
具体的には、スクールとして求める学生の学習目標を設定し、学生がその学習目標に到達しているかを測定・分析を行い、その結果を踏まえて、学生の「学びの質」を向上させるための「改善」を行い、再度、学習到達度を測定する事で「改善」の効果を測るという一連のプロセスとなります。
改善策には、科目の加除や変更、提供する科目の順番の変更、科目コンテンツの充実等カリキュラムに関わるものから、学生の入試基準の
変更、教授方法の変更、プログラムの新規設置・廃止まで、多岐にわたる内容が想定されていますが、
これらの改善策を実施した上で再度測定を行い、学生の学習目標の到達度を測るサイクルを回す事を”Close the Loop“
(クローズ・ザ・ループ)と言います。
いわば、「学びの質のPDCA」のようなもので、おおよそ5年で1つのサイクルを回す事が求められています。
出典:AACSB “Assurance of Seminar II: Data, Decision Making, and Continuous Improvement” Participant Notebook, June, 2020
このような、学生の学習到達度を客観的に測定する仕組みを有するメリットとしては、将来の学生候補、行政担当者、スクールの支援者、認証機関等の外部関係者に対して、教育に関する説明責任を果たす事が出来る事が挙げられます。また、スクールや教員にとって、プログラムや授業を向上・改善するための良い材料となる事も挙げられるでしょう。
AoL(Assurance of Learning)の実施方法
それでは、AoLの実施には具体的にどのような作業が伴うのでしょうか。
【開発サイクル(1~2年目)】
●学習目標(Learning Goals(LG) , Learning Objectives(LO))は、スクールの教学上のミッションを基に、学生が修了時にどのような能力を保有していて欲しいかという事を念頭に設定し、体系的に整理します。通常、ビジネススクールのLG-LOには、経営管理に関する専門知識や、分析能力、コミュニケーション能力、クリティカルシンキングなどが設定される事が多く見られます。
●各LG-LOを設定したら、これらをどの科目で測定するのかを決定し“Curriculum Map”(カリキュラムマップ)と呼ばれるマップで整理します。LG- LOの下にはさらに具体的な“Rubrics”(ルーブックス)という評価基準を設定します。
●学習能力の測定方法には、“Direct Measures”(直接的測定)と“Indirect Measures”(間接的測定)があり、これらを組み合わせながら、設定した学習目標の測定手法として適切な評価方法を決定します。
※Direct Measures: 試験や宿題、インターンシップにおけるフィードバック等、直接的な観察・評価結果
Indirect Measures:学生の修了時調査、卒業生調査、諮問委員会からのフィードバック、雇用主からのインプット等の第三者からの評価等
【測定サイクル(3~4年目)】
●設定した測定方法に基づいて測定を実施し、収集したデータより学生の学習能力の到達度について分析を行います。
●分析結果から課題を特定し、科目の加除や入試基準・教授法の変更などの改善策を検討します。
【Close the Loop(CTL)サイクル(5年目)】
●改善策を実施に移した後、再度測定を行い「改善」の効果を測ります(“Close the Loop”)。
AACSBの査察においては、この最後の”Close the Loop”(改善策の実施・実施後の評価)が出来ているかがポイントとなるため、測定結果を踏まえた改善のエビデンスを提示する事が重要となります。
上記のように、AoLのループを一度回して閉じるまでの5年のサイクルには、教員の関与(エンゲージメント)を含めた多様な活動が伴いますが、学生の学びの質保証に対する継続的な取組みは、学生にとって有益である事はもとより、質の高い卒業生の輩出は、グローバルな大学間競争が激化する中で、大学のブランディングや評価の向上にも資すると考えられます。
以上、国際認証AACSBのAoL(学びの質保証)について簡単にご紹介させて頂きましたが、国際認証やAoLにご関心・ご質問等のある方は、以下までお問合せ下さい。
グローバル事業支援チーム 桑原佐知子
【お問合せ先】
(株)早稲⽥⼤学アカデミックソリューション
グローバル事業支援チーム 国際認証担当
Email:accreditation@w-as.jp
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