外国人留学生就職支援の取り組みについて学会発表しました! ~未来のマナビフェス2019&留学生教育学会~
社会連携企画部グローバル事業支援チームの沢野です。
当チームでは、実践的専門知識と語学力を活かして、大学のグローバル競争力強化につながる各種サービスを展開しています。そのひとつが、早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)に在籍する外国人留学生に対するキャリア支援業務です。
この8月に、全国から多数の研究者、教育関係者、留学生支援者が集う2つの教育系カンファレンス(未来のマナビフェス2019・第24回留学生教育学会年次大会)にて、これまでの活動成果を報告しました。
早稲田大学ビジネススクールでは、世界約30の国・地域から来た約200名の外国人留学生が学んでいます。卒業後就職を希望する外国人留学生の実に9割が日本国内での就業を希望していますが、「日本語」という壁が立ちはだかる日本国内の就職は、チャレンジ精神に富み、勤勉で、広い視野を持つ彼らにとっても、そうたやすいものではありません。
当社では、外国人留学生が自律的にキャリアを描き、それを実現していけるよう、6年間にわたりその支援に携わってきました。大切にしたのは、学生のニーズに徹底的に向き合う調査・分析と、そのニーズに丁寧に応えるサービス開発、そして、それらを効果的かつ効率的に組み合わせた全体スキーム設計です。試行錯誤の末、卒業時の進路満足度や国内就職状況は大きく改善してきました。
未来のマナビフェス2019 ポスター発表
8月21、22日に東京工科大学で開催された未来のマナビフェス2019のテーマは「2030年の学びをデザインする」。
アクティブラーニング/主体性・モチベーションを高める取り組みや、産官学連携による教育プログラム等、昨今注目を集めるテーマを中心に様々な視点でセッションが社会変化に応じた教育を考えるセッションが開かれました。
当社は、「早稲田大学ビジネススクールのキャリア支援について」をテーマにポスター発表を開催。全国の学校経営者、研究者、日本語教育関係者、企業人事の皆さまにお立ち寄りいただきました。同じような問題意識を持つ方々のみならず、留学生の国内就職という問題についてはじめて耳にされたという方々にも熱心に耳を傾けていただきました。
第24回留学生教育学会年次大会 発表
留学生支援に関わる全国の研究者、教員、実践家が集う本学会の今年のテーマは、「岐路に立つ教育と日本語教育-新しい外国人制度を考える。」昨年末、外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が成立しました。今後の日本社会における大きなテーマ「共生」に向けて、外国人留学生支援に携わる私たちに何ができるのか、何をすべきか、活発な意見交換が行われました。
当社は、「英語プログラム外国人留学生を対象としたマーケティング思考の就職実践事例報告:早稲田大学ビジネススクール(WBS)のケーススタディから」というテーマで登壇。実際に留学生支援に携わる方々にご出席いただき、具体的な内容に踏み込んだご質問やご意見を多くいただきました。
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外国人留学生はそれぞれ、日本に留学した目的も背景も異なります。日本で暮らす私たちは、とかく彼らを国や地域、言語などでひと括りにして捉えがちですが、それでは効果的な支援はできません。きっかけも、希望も、夢も違うひとりひとりの期待に応えるには、画一的な支援では限界があります。その意味において、外国人留学生のキャリア支援のあり方は多種多様で、個人個人に合わせたものにならざるを得ません。総じて手間や時間がかかる外国人留学生の出口支援に手が付けられない教育機関は全国に多数あろうかと思います。さらには、外国人留学生の多様なバックグラウンドを理解し、時に英語や彼らの母国語を用いながら課題解決に適した対応策が提供できる支援人材の確保・育成も、支援の現場において大きな課題でしょう。
そのような状況下、あえて外国人留学生ひとりひとりの課題に向き合ったサービスを考え、それを効果的・効率的に展開する術を模索してきた当社の取り組みは、「今後の外国人留学生キャリア支援のひとつのモデルになるのではないか」、とご出席の皆さまに評価いただきました。
当社では、引き続き、効果的・効率的な外国人留学生のキャリア支援策とそれを行う支援人材の育成策について検討を進め、改善を加えながら、外国人留学生キャリア支援のひとつのモデルとして、全国の教育機関の皆さまのお役に立てることを願っております。
<参考:外国人留学生の就業をめぐる状況>
日本の大学・大学院、専門学校、日本語学校などで学ぶ外国人留学生の数は,2018年5月1日現在298,980人に及びます。5年前と比べると実に2倍。政府による様々な受入れ施策の甲斐あって、留学生数は「入口」部分では順調に推移しています。”クールジャパン”をめざす外国人留学生の増加は止まる気配がありません。
ところが、「出口」部分である就職については、長らく足踏み状態が続いています。大学・大学院留学生の国内就職率は約35%。日本で就職を希望する外国人留学生は6割を超えるとの数字から、その約半数の学生は、日本に関心を持って来日し、この国で働きたいと願いながら、日本以外の国でのキャリアを考えざるを得ない状況が続いています。